シーズンレシピ

AHBインターナショナル株式会社 スタッフ募集

獣医師、ペットショップスタッフ、ペットホテルスタッフ、ペットスタイリストなど、随時募集

目の不自由な人々の自立支援の一つに、「盲導犬との生活」があります。生活の支援だけではなく、人と犬とのかけがえのないパートナーシップがそこにはあります。 今回は、たくさんの心の触れ合いの場でもある盲導犬育成の最先端、「盲導犬の里 富士ハーネス」(静岡県 富士宮市)を訪ね、動物と人間の共生について取材して来ま した。まずは前編、「ふるさととしての施設」をクローズアップします。

訓練センターとしてだけではなく

雄大な富士山が見守る『盲導犬の里 富士ハーネス』は、日本盲導犬協会が運営する日本最大級の盲導犬育成のための訓練施設です。ここでは将来盲導犬として活躍が期待される子犬や訓練犬、母犬や引退犬が暮らしています。

この訓練センターは、富士の裾野の自然豊かな環境にあり、訓練に取り組むスタッフや盲導犬の候補犬達、また見学に来られる方々にとっても、とてもリラックスできる場所です。訓練の為のトレーニング棟をはじめ、出産の為の分娩棟や、引退した盲導犬の為の引退犬棟など、必要なものが全て詰まった盲導犬のふるさとです。

現在日本では、ここ富士ハーネスを運営する日本盲導犬協会を含む九つの組織がそれぞれ盲導犬の訓練に力を注いでいます。

自立して生きて行きたい、生きがいを持って仕事をしたいと願っている目の不自由な人々のために育てられ訓練されている盲導犬。そしてそれを支える人々。ここ富士ハーネスでは、様々な困難や問題を乗り越えて人と犬との幸せなパートナーシップが温かくも強く紡がれています。育成・訓練施設を越えて、国際交流や社会福祉の精神等、幅広い視野を共有していく場にもなっているのです。

ページトップへ

ユーザーさんと盲導犬のパートナーシップをより多く


盲導犬ユーザーの押野さんと
パートナー犬 ウェーブ

我々が施設のラウンジに到着すると、一組の盲導犬ユーザーと盲導犬が出迎えて下さいました。今回お話を伺うのは、この4月から職員となった押野さんとそのパートナー、盲導犬のウェーブちゃんです。押野さんは、学生時代からの盲導犬ユーザー。パートナーのウェーブちゃんとはかれこれ2年半のつきあいです。6年間盲学校に通っていた押野さんは、「ウェーブが来る前とその後ではずいぶんと生活が変わった」と話して下さいました。

「盲学校では4年間寮にいて、残りの2年間通学したのですが、ウェーブが来るまでは親に送ってもらっていました。ウェーブが来てくれてから、親に頼ることなくとてもよく歩くようになったんです。朝の準備で起きるのも早くなりましたね。」    しかし、押野さんとウェーブちゃんの共同生活も最初はとまどいの連続。「人が好きなので訓練士や母親にしっぽぶんぶんでついて行こうとしてしまったり(笑)。    ただ時間が経つにつれ、私の事を一番気にしなきゃならない、安全な歩行のサポートをしよう、という意識がはっきり芽生えてきたと思います。」人間大好きなウェーブちゃんも、ゆっくりとですが、盲導犬としての責任感を発揮し始めたそうです。パートナーシップは一日にして成らず。共に生活をしていく上でお互いの信頼関係が強くなるのです。   

ウェーブちゃんのお世話を全て一人でこなしている押野さんの生活は朝のウェーブのお世話から始まります。一人では排泄処理も大変ですが、なんとか工夫と努力でこの問題を解決しています。「ワンツーベルトというのがあるんです。お出かけ先等では、周りの迷惑にならない場所に移動してから、その袋の中に排泄させます。袋には凝固剤が入っているので、臭いのしないように口をきつく縛って後で処理をします。」   

ウェーブちゃんが来てから、街にも一人と一頭で出かけられるようになった押野さん。行動範囲は徐々に広がり、遠方へ買い物に行くこともできるようになりました。「誰かの誕生日に、プレゼントを選んだり出来るんですよ!まさか私からプレゼントが来るとは思っていないようで、相手にとってはサプライズですよね。そういった今まで出来なかった事が、ウェーブと一緒に生活するようになってからは出来るようになって本当にありがたいです。」笑顔で語る押野さんから、世界を広げてくれた盲導犬との生活は、「心」で繋がっていることがとてもよく伝わってきました。そして「盲導犬育成」と一言で言ってしまうには余りある、たくさんの人の努力や愛情が背景にあることも。   

  

「盲導犬の里 富士ハーネス」はこのような目の不自由な方々には心強いパートナーとなる盲導犬を育成・訓練する場所です。また、パピーウォーカーになってくれる一般ボランティアの募集や盲導犬理解していただくための活動など、取り組みは多岐に渡ります。動物と人間の垣根を越えて、盲導犬の事情を知って欲しいと、日々活動されています。   

ページトップへ

動物と人が一つの街の中で自然に息づく場所として

富士ハーネス内には歴代の盲導犬の冥福を祈るための慰霊碑が建立されています。凹凸がある形状は、視覚障害者の人にも触れて実感してもらいたいという願いが込められています。出産から育成・訓練、引退後の豊かな余生まで、盲導犬が適切なケアと愛情につつまれて過ごすことができる施設として細かい部分までユーザーさんとパートナー犬の絆が刻まれています。

「グーーッド!」訓練棟からは、今日も明るい訓練の声が聞こえてきます。訓練犬とはいえ、まだお茶目なところが抜けきらない彼らは、盲導犬としてのスキルを磨くと共に、そ の個性も大事に育てられます。全ての盲導犬育成施設の目標は盲導犬需要者と同数の盲導犬を排出する事。日本では将来的に盲導犬と一緒に歩きたいという方を含めると全国で7800人の潜在需要が存在すると いわれています(※平成10年7月 日本財団『盲導犬に関する調査』より)。それに対して盲導犬の数は現在、全国で1,000頭ほどで、圧倒的に足りていないという現状を打破する 為にも、今後も富士ハーネスは非常に重要な役割を担います。   

  

富士ハーネスで育てあげた訓練犬が盲導犬として新しいパートナーと共に笑顔のあふれる生活を始めることが一組でも多く誕生しますように。

  

次回の続編は、「盲導犬の仕事、社会とのつながり」をクローズアップしていきます。

取材・文
アニカクラブ編集部

紹介施設
日本盲導犬総合センター
「盲導犬の里 富士ハーネス」
所在地 〒418-0102
静岡県富士宮市人穴381
URL http://www.fuji-harness.net/

ページトップへ