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アニマルセラピー — いまや頻繁に耳にするようになりました。動物と触れ合わせることで、その人に内在するストレスを軽減させたり、精神的な健康を回復させることができると考えられています。 動物とのコミュニケーションを医療に応用したアニマルセラピー。今回、その現場を訪ね、動物と人間の共生をレポートします。

緑豊かな広大な敷地がセラピーの場。

動物と人との共生活の歴史は長く、動物は「精神生活の安寧」「子供の成長・教育への寄与」「健康の増進、機能障害の回復」「他人とのコミュニケーションの促進」などに有効な効果をもたらしてきました。 動物と触れ合う癒し効果を利用した治療は、世界各国で取り入れられ、その有効性が証明されつつあります。

動物を介在させた療法が日本でも注目を集めています。今回、訪ねた木更津小児発達センター「のぞみ牧場学園」は、小動物とのふれあい活動やアニマルセラピーを積極的に取り入れた知的障がい児のための療育施設。 平成15年4月の設立以来、発達に障害を持つ0才から6才までの就学前の子供たちに対し、言語聴覚士、作業療法士、音楽療法士などの専門家や、障がい児専門の保育士による個々の発達に沿った療育を行っています。

学園は、千葉県房総半島のほぼ中央にあり、約7000坪の広大な敷地と、山間の豊かな自然環境が自慢です。 現在、学園には36人の子供たちのほか、就学児や定員の空きを待つ子供たちがデイサービスを受け、毎日元気よく通園してきます。私たち取材班も早朝より密着しようと、東京から車を走らせ学園へ……。

到着すると、私たちを出迎えるようにネコ2匹とヤギ2頭がやってきました。 ここでは、牧場学園という名のとおり、ネコ、ヤギ、イヌ、ヒツジ、ブタ、ポニーなどの小動物たちが放し飼いされ、就学時間帯に子供たちは動物と触れ合うことができます。 休み時間になれば、子供たちはみんな目を輝かせながら、お気に入りの動物たちと、それぞれに対話をするのです。

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動物から学ぶことで、心をひらく。


のぞみ牧場学園施設長
臨床言語士 津田望さん

「子供たちは動物たちとのコミュニケーションを通じて、対人関係のあり方、関わり方を自然と学んでいくんです」と語るのは、のぞみ牧場学園施設長で、臨床言語士の津田望さん。
言葉を持たない動物とコミュニケーションを行うことで、人とのコミュニケーションへつなげる狙いがあるようです。 動物とのやりとりが、他人とのコミュニケーション力を育むトレーニングとなり、相手を思いやる気持ちや自立心の向上にもつながっていくと言います。

子供は幼いほど、相手に対して、接し方や力の加減がわかりません。人間ならば、相手が感情をコントロールしてくれる場合もありますが、動物たちは、怖いものや敵対する者から離れようとします。 それぞれの動物に合った愛で方をすることで、「相手に嫌われないようにするにはどうしたらよいか」「相手と自分の心地よい関係をつくるにはどうしたらよいか」といったことを体感していくのです。

「イヌは多少、自分のしたい行動に付き合ってくれますが、ヤギやヒツジは言うことを聞いてはくれません。 そういう動物たちと行動をすることで、相手との距離を合わる努力をします。それが自分をコントロールすることにもつながってくるんです」(津田さん)

乗馬によるセラピーも、ただ馬の背に乗せるだけでなく、姿勢やバランスのとり方など、子供たちにちょっとしたアドバイスを与えます。 馬にとっては、人の落ち着きになさを敏感に感じ取ります。子供は、馬から落ちまいと、姿勢をきちっとすることで自ずと馬とのコミュニケーションが取れるようになるのです。 子供は乗馬の楽しさとともに、集中力を高めるトレーニングにもなります。こうしたセラピーは、特に多動症(注意欠陥多動性障害)の子供たちの発育に良い影響を与えているそうです。

人に慣れている動物たちとはいえ、そうそう子供たちの言うとおりに動いてはくれません。それでも、子供たちはお世話をしようと一生懸命。 ことばを掛け、目を覗き込むようにダックスのルークを撫でたり、ブタのトントンに抱きつき、自分が手にした餌を何とか食べてもらおうとしたり……。保育士さんも一緒になって、あちこちで歓声があがります。

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動物たちの関わりすべてが療育。

ここでは、動物たちへのブラッシングや歩き方、餌を与えることなど、すべてがアニマルセラピーであり、療育の一環として位置づけられています。 「撫でる」「触る」などを通して感覚機能への働きかけや、「抱き方」などで人への接し方や「力加減」を学習する数々のプログラムが用意されているのです。

学園に通う多くの子どもたちは知的障がい児です。自閉症や知的障害などの子供たちは、アニマルセラピーをはじめとするプログラムと、 各分野の専門家による指導、良好な療育環境でコミュニケーション能力を上げ、特異な行動を少しずつコントロールできるようになっていきます。
通い始めた頃は、座ることさえできなかった子が、しっかりと先生の話を聞けるようになったり、無表情だった子が笑顔を見せるようになったり、親御さんがびっくりするくらいの変化をもたらすこともあるそうです。
動物たちとの共生。次回の後編は、学園で過ごす動物たちをクローズアップしていきます。

取材・文
アニカクラブ編集部

紹介施設
社会福祉法人 のゆり会 きさらづ小児発達センター
のぞみ牧場学園
所在地 〒292-0201
千葉県木更津市真里谷2374-1
URL http://www.bokujougakuen.jp/index.html

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